(本ブログは月水金に更新されます。コメントはryuuzaki_i@yahoo.co.jp へ)
(写真:送電線鉄塔周辺で鴉を巡る何やら騒動が!)
カラス1581


 夜明け前 送電線の 鉄塔で からすの群が 雄たけび上ぐ

 当地のカラスになにやら緊急事態が発生したようです。十羽を超える鴉の群が電線にとまり叫んでいます。同様の風景を以前も見ました。そのときは、からすの群にトンビが闖入したことで「乱」が起きました。大将ガラスは近くの木の梢で「タクト」を振っていました。
 今般は群の中にいる大将があれこれの指示を出しているようです。斥候らしき一羽が時折周囲を巡回しています。大将の指示によったのか、それとも「エエカッコウ」したかった鴉なのか、なぞと地上の私は想像をめぐらしました。


 五十年以上も前の大昔の左翼学生も、いまや当時の気高い理念はすっかり褪せてしまっています。そのことを実感する政治課題が、憲法九条の改定の是非、そして以下に紹介する大学での軍事研究の是非です。
 大学研究者が選択するテーマは「戦時にあっていかに効率よく確実に敵戦力に打撃を与え得るか?」などと言った直裁な課題ではないはずです。効率よく敵戦力に損害を与えるために必要な環境整備、たとえば敵陣の所在地の高精度の確認といった課題でしょう。これは民生用技術として研究者が追求して不思議はありません。それが軍事用に転用されるのです。暗号研究然り、深海底での対象物探査然りです。素粒子物理学、天文学ですら例外ではありません。ジュネーブのLHCが一頃ブラックホールを作り出すや否やで裁判事態にまで発展しました。それとても軍人からすればその瞬時に蒸発するとされるブラックホールの寿命をのばし、軍事への転用を構想する軍機関が出現しないとは断言できません。もっと深刻であるのが生物兵器です。研究者の学問的興味が非常にたやすく軍用に転用できるのではなかろうか?

 とするならば、良心的といわれる大学研究者が“軍事研究をしない”と呼びかけをしても、現場の研究者にどれだけの説得力があるのだろうか?私にはわからない。以下に毎日新聞記事を転載しておきます。

%%%%%<米空軍>大学研究者に8億円超 日本の延べ128人 
毎日新聞 2/8(水) 7:00配信 http://c23.biz/WwYy 
◇10〜15年度 軍事応用の恐れ

 米空軍が2010年度以降の6年間に、日本の大学研究者ら少なくとも延べ128人に総額8億円超の研究資金などを提供していたことが、毎日新聞の調査で分かった。また、10〜16年度に京都大と大阪大の教授ら11人が米空軍と海軍から計約2億円の研究費を受けたことも、両大学への情報公開請求で判明した。

 米軍からの資金受領に法的問題はないが、科学者の代表機関・日本学術会議は1967年、研究者や学会が米軍から資金提供を受けていたことをきっかけに、軍事研究を禁じる声明を出した。今回、資金受領が判明した教授らは「研究は平和目的で軍事研究には当たらない」と説明しているが、研究成果を米軍が軍事応用する可能性がある。

 米空軍が毎日新聞に開示した資料によると、10〜15年度(米会計年度)に日本国内の研究者延べ128人に研究費として約7億5000万円を提供していた。さらに国際会議の費用と研究者の米国出張旅費でも計125件、計5000万円以上を支援した。研究者や大学名、個別の研究内容は明らかにしなかった。提供理由について、米空軍のダリル・メイヤー報道官は「米国だけでは手に入らない貴重な知見が得られるため」としている。

 一方、資金受領が判明したのは、京大情報学研究科の男性教授、阪大工学研究科の男性教授ら京大2人、阪大9人(現在は他大学に移った人も含む)。それぞれ米空軍のアジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)、米海軍の海軍研究局(ONR)の出先機関を通じて研究テーマを申請し、1人約150万〜4500万円を受け取った。

 教授らの研究分野は人工知能(AI)やレーザー技術など。米国防総省は14年に発表した技術戦略で、AIを搭載した無人兵器につながる自律型システムの重視を挙げた。また、レーザーは砲弾やミサイルに代わる新兵器につながるなど、米軍が将来兵器の技術として重視する分野と重なる。

 京大と阪大はともに「適切な学内手続きを経て、受け入れを了承した」としている。【千葉紀和】

 ◇軍備増強に加担するな

 山崎正勝・東京工業大名誉教授(科学史)の話 日本学術会議の声明に反するのは明らかで、日本の研究者が米軍の軍備増強に加担すべきではない。研究費は資金源と共にどういう文脈で出ているかが問われる。米軍資金による研究成果は民生利用できるとしても軍が使うことが前提であり、軍事研究そのものだ。これだけ多くの研究者が受け取っているのは問題で、学術界や国民的な議論が必要だ。
%%%%%記事紹介おわり

+++++巨大地震調査
 巨大地震について調べています。日本で大きな(必ずしも巨大地震ではない)地震が起きると、“そういえば、国外のあの地で比較的最近に起きていた”と語る人が少なくありません(勿論、”地震愛好家“を含みます)。その後、彼の地に大地震が起きると、「もうじき日本列島周辺に地震が起きるかもしれない」などと言って世の注目を浴びたがります。

 ある地震が次の地震を引き起こしたであろうと推測できるような事例が実際には少なくありません。そこでは先行する地震が作り出した地殻内の応力状態が次の地震周辺の応力状態を変化させたと理論から後付けできることもあります。
 しかし、空間的に、そして時間的に大きく隔たった二つの地震発生に因果関係の存在を検知した事例は皆無です。最大の理由は、因果関係を物理的に説明するはずの応力の伝播機構が全く解明されていないからです。上に書いた近地地震では「弾性体内に生じたクラックが作り出す応力分布」を計算するところから、その因果関係を推測できます。が、時空間で大きく隔たった二つの事象にあっては、その連関を探る手立てすらありません。まずは表面的な時空間での分布をみるしかありません。

 そこで、まずは時空間での巨大事象の分布をこれまで調べてきました。そこで見えてきたこと、それは2000年代の巨大地震(Mwが7.8又はそれを超える地震)については、その発生の鍵を握っているのが2004年12月26日にスマトラ島沖で発生した地震であったらしいことです。此の地震が作り出した巨大津波はインド洋の周辺域にとてつもない大災害をもたらし膨大な人命を奪いました。私は当時、とある地震観測を主務とする国外機関に勤務していました。そこにスリランカの大使が飛びこんできて、“此の機関は地震観測が主たる業務だろう!巨大な金をつぎ込んでいながら何故、今般の事態を予測できなかったのかっ!!」と組織の幹部連に声涙くだる叫びを発したことが記憶が頭にこびりついています。

 爾来、巨大地震の恐怖がいつも頭の中に棲み付いていました。その恐怖を再度体験したのが六年前の東日本巨大地震です。生きている間に二回も巨大地震と遭遇してしまいました。せめて生きている間に巨大地震発生を予測できるような何がしかに触れたいと常々考えてきました。さて、こうした個人的感傷はともかく、時空間上での巨大地震群の相互関係になにか規則的なものが現出していないだろうか?

 一つの試みが、二つの事象間の空間距離、ΔD,と時間的隔たり、ΔT,です。すでに空間距離について調べました。しかし、どうやらこれと言った目新しいものを認めることが出来ませんでした。そこで今回はΔD/ΔT なる量を見ることにしました。此の量を本ブログでは“見かけ速度”と呼ぶことにします。

 この量は「速度」の次元を持ちます。“二つの事象に物理的因果関係があり、最初の事象によって周囲の場が変化をしその変化が時間とともにある方向に拡大し、それが二番目の事象を引き起こす”と言う過程を想定していることになります。その際、ΔD/ΔTは巨大地震発生の周囲場変化の拡大速度と言うことになります。

 2004年12月のスマトラ巨大地震に先行する地球上の巨大地震発生が、実は此のスマトラ地震発生を準備していたと仮定します。この場合、夫々の先行地震がどれだけのスピードで自らの発生効果をスマトラ地震に及ぼしていたであろうか?それを見るために作成したのが図1です。

 (図1:ΔD/ΔT は常用対数で単位はkm/day(1.2cm/sec)。どちらもスマトラ地震からの震央距離、発生時間間隔。2004年スマトラ地震に先行する巨大地震がスマトラ地震に影響を及ぼす速度、およびスマトラ地震がそれに続く巨大地震に影響を及ぼす速度。緑の縦線は2004年のスマトラ巨大地震。黒四角(地震番号)は2011年3月11日の東日本巨大地震、赤はMwが8.5又はそれ以上の地震、青はMwが8又はそれを超える地震、それ以外はMwが7.8または8を超えない地震)
4Velsmatra170208
 
 
  今回は、図の緑縦線(2004年スマトラ地震)より左側の地震群について考察しています。縦軸に常用対数をとっているのは、その計算値幅が数桁を超えるほどに大きく最大は縦目盛り3.5つまり約30m/secから目盛り0つまり1cm/secと三桁にまたがるためです。
 
 誠に興味深いことは、このΔD/ΔT、“見かけ速度”が、地震発生を重ねるにつれcm/secのオーダから10cm/secのオーダに、つまり一桁増加していることです。そしてついにはそれが10番の地震にいたっては三桁にまで急増しています。

 此の10番地震は、スマトラ地震とは無関係であり、たまたま時間的に近接して起きたにすぎないと考えることも可能です。が、そうあっさりと此の地震を切り捨てることが出来ない事情があります。
 2013年4月22日記事(スマトラ地震が誘発した米国西海岸地震 )で紹介したように、此のスマトラ地震が二時間弱の間に米国西海岸カリフォルニアに影響をもたらし、その地での地殻内地震活動を活性化したらしいとの研究があるのです。これが真実とすればその見かけ速度は十万cm/secつまり弾性波のスピードであり、それは図1の縦軸にてらせば5.0にも相当します。このような視点からもスマトラ地震は地球の根底を(いささか大げさな表現ですが)揺さぶった地震であったということができそうです。

(図2:図1で示される地震群の緑の縦線左側の地震について、夫々の震央分布。左は、中心をスマトラ地震震央として作成されている;右はスマトラ地震震央の対極店を中心として作成されている。付されている番号は発生順。) 
BeforeSmatra170208


 図1にしめされる“見掛けの速度”の増大は上の図からも見て取ることが出来ます。中央のスマトラ地震の前にはごく近傍で地震、“1,2”が起きています。震央間の距離は2000km以内です。そして次に起きるのが“3,4,5”のグループで距離は5000kmと遠ざかります。そして次が地震群”7,8,9“で距離は5000〜8000kmに遠ざかります。そして10番の地震はスマトラ地震の直前(ほぼ発生の二日半前、12月23日14時、世界標準時)に8000km隔たった地で起きるのです。

 どうやら、スマトラ地震は、地震“1,2”が前兆ではあったけれども、これらの地震は直ちに2004年の地震発生には繋がらなかった。スマトラ域の東側5000〜8000kmの範囲内で進行した大規模な地学変動が最終的にスマトラに集約されてあの巨大地震が起きたと考えるべきではなかろうかと思っています。さて、5000〜8000km内の大規模な地学変動、そしてそれがスマトラに収斂する物理過程は皆目わかりません。どうすればそれが解明できるのか?チマチマしたGPS 観測もさりながら、月面に地球定常観測機を設置するなどが構想されるべきと考えています。

 こうした宇宙規模の観測は次に紹介する宇宙からの地上への落下物対策にも資するものであると思っています。

+++++宇宙の飛来物の落下(1)
 前回ブログ記事で、浜田氏によるブログ記事を紹介しました。関連する記事をScientific American誌に見つけたので以下に紹介しておきます:

%%%%%記事はじめ
New White House Strategy Preps Earth for Asteroid Hit Scenarios 
新しいホワイトハウス戦略はアステロイダからの地球防衛シナリオの準備である

米国科学誌記事
The Office of Science and Technology Policy has released a new plan for protecting Earth from hazardous space rocks
科学技術政策局が有害な宇宙空間ロケットから地球を防衛する新計画を発表している


There is no doubt big-time troublemakers lurk out there in the cosmos. We know that blitzkrieging asteroids and comets can make for a bad day here on Earth because our planet has been on the receiving end of many long-ago scurrilous intruders, and has the pockmarks to prove it. There was also the recent and loud wake-up call when an incoming space rock detonated in the skies near Chelyabinsk, Russia, in early 2013, causing significant injuries and property damage. The bottom line is that near-Earth objects (NEOs) have crosshairs on our world. But what to do about these cosmic demons from the deep is another matter.
 宇宙の中に巨大な厄介者が潜んでいることは間違いない。アステロイドと流星の爆撃は此の地球にとって最悪の日となる。何故なら、我々の惑星は長年にわたり激しく宇宙からの侵入物にさらされてきた。 そのことは地上の多くの痘状の痕跡からわかる。2013年始め、ロシアのチェリャビンスク近郊の上空での宇宙爆発が人々を驚かせた。それは、重大な傷害や財産の被害をもたらした。 near-Earth objects (NEOs)(近地球物体)( NeO記事 )が書くように大事なことは監視することだ(crosshairs とは望遠鏡のレンズの十字線)。しかし、これらの宇宙の悪魔について深いところから何をすべきかは別の問題である。

In the waning days of Pres. Barack Obama’s administration, the White House Office of Science and Technology Policy (OSTP) released a “National Near-Earth Object Preparedness Strategy” last week. The strategy outlines major goals the country will have to tackle to prepare to meet the NEO threat, signaling that some leaders are taking the danger more seriously. Whether the U.S. government is willing to put significant funding behind such efforts, however, still remains to be seen. “This has been something that for years was more or less a laughing matter,” says William Ailor, an Aerospace Fellow of The Aerospace Corp. The White House report shows that there is high-level interest in the NEO threat, and that even if incoming NEOs are not among the most likely threats we face, the consequences of an impact could be dire. “It’s a good thing to keep your eye on,” Ailor says, and the new report “brings reality home.”
 バラク・オバマ大統領の政権の終焉の日々に、科学技術政策・ホワイトハウス事務所(OSTP)は“National Near-Earth Object Preparedness Strategy」(OSTP) を公表した。この戦略は、NEOの脅威に対処する準備をするために国が取り組まなければならない主要な目標を概説し、一部の指導者が危険をより真剣に受け止めていることを示している。しかし、米国政府がこのような努力の背後に大きな資金を投入しようとしているかどうかはまだ分かっていない。「これは何年もの間、笑い事だった」とWilliam Ailor, an Aerospace Fellow of The Aerospace Corpは言う。ホワイトハウスの報告書によれば、NEOの脅威には高い関心があり、落下するNEOは、我々が直面する可能性が最も高い脅威の一つではないとしても、影響の結果は致命的である可能性がある、と書く。Ailorは「目を開き続け、現実の問題として捉える」との報告書を評価している。

SKYFALL STRATEGY
落下物体戦略

The 19-page report, the product of an interagency faction of experts convened in January 2016 dubbed the Detecting and Mitigating the Impact of Earth-Bound Near-Earth Objects (DAMIEN) working group, was released January 3. Overall, the group found the U.S. needs more tools to track space rocks, and that greater international cooperation is necessary. Specifically, the report outlines several goals, including increasing the ability both in the U.S. and in other countries to more rapidly detect NEOs, track their movements and characterize the objects more completely. It also says more research is needed to study how best to deflect and disrupt a space rock that might be on a collision course with Earth. Furthermore, the strategy calls for better and more integrated modeling of NEO trajectories to reduce uncertainties of their orbits and possible impact effects.
If indeed there is a NEO strike, the strategy also seeks to develop coherent national and international emergency procedures for different impact scenarios, be it an object hitting deep ocean, a coastal region or a major landmass. We must be prepared to respond as well as recover from such a blow in an orderly and timely manner, the report finds.
Lastly, the document’s strategic goals underscore the need to get all nations to agree that the potential NEO Earth impact risk is a global challenge, one that demands planetary coordination and cooperation. Protocols and thresholds for taking action, not only in the U.S. but internationally, are necessary.
 the Detecting and Mitigating the Impact of Earth-Bound Near-Earth Objects (DAMIEN) と命名された専門家作業グループが2016年1月16日に知見を統合した19頁の報告書を1月3日に公表した。米国は宇宙の岩石を追跡するためにより多くの技術が必要であり、より大きな国際協力が必要である、とグループ報告書は書いている。とりわけ、報告書は幾つかの目標について概要をかいている。それは、NEOをより迅速に検出し、動きを追跡し、オブジェクトをより完全に特徴付けるために、米国および他の国々の能力を向上させることを含む。また、地球と衝突する可能性がある宇宙岩をどのように逸らして破壊するのかを研究するためには、より多くの研究が必要であるとしている。さらに、この戦略では、軌道の不確実性や影響の可能性を減らすために、NEO軌道をよりよく統合したモデル化が求められている、と書く。
 実際、NEOの地上落下がある場合、この戦略は、米国内および他国での夫々の異なる影響シナリオを考慮した緊急手続きを開発することも求めている。それは深海沿岸、陸地でのシナリオとなろう。このような打撃から秩序ある回復を時宜にかなって実現するだけでなく、適切に対応する用意ができていなければならない、と報告書は書く。
 最後に、報告書の戦略的目標は、すべての国が潜在的なNEO地球への影響のリスクがあることに同意してもらうことの必要性だ。つまり惑星としての地球全体の強調と協力である。米国だけでなく国際的に行動をとるためのプロトコルと基準が必要だ、と報告書は指摘する。
(つづく)